2014年12月29日月曜日

「海をゆく者」

コナー・マクファーソン作
Cast 小日向文世/吉田鋼太郎/浅野和之/大谷亮介/平田満
2014年12月28日パルコ劇場 千秋楽

私にとって舞台は不思議な存在で、見に行き始めると止まらなくなり、休みのほとんどをその時間に割いてしまいます。
第一次観劇ブームは高校生の時に訪れ、大学受験によって強制終了されました。
今回第二次観劇ブーム、真っ只中。

千秋楽を見ることができた「海をゆく者」があまりにも素晴らしくて、なんとか、どうにか、このモヤモヤを残しておきたくて、久々にブログにすることにしました。

幕が上がると汚いゴミだらけの埃っぽい部屋が浮かんで、窓からの朝日だけがきれいに見えるようなところに、寝起きの飲んだくれのおじさんたちがいるわけです。
舞台芸術が素晴らしくて、本当にくさそうでした(笑)。
一見、なんの意味もないような会話の中に、少しずつ登場人物たちの状況がわかるような言葉が入ってきていて、だんだん「この人はこういう人なんだなぁ」っていうのがわかってきます。
最初は実家に帰ってきたシャーキー(平田満)と兄のリチャード(吉田鋼太郎)と友達のアイヴァン(浅野和之)の3人で舞台を回すんですが、セリフがすごい。どれだけ喋るんだ。しかもいらないセリフが一つもない(最後にわかるんだけど)。しかも細かく笑いを入れてくるし。
で、そこにもう一人の友達のニッキー(大谷亮介)が千鳥足のロックハート氏(小日向文世)を連れてポーカーをしにやってきて、この5人で舞台が進んでいきます。
何も予備知識なしで観に行ったもんで、このセリフの応酬のような舞台で面白く進んでいって、このまままか?と思ったら、舞台の上にシャーキーとロックハート氏だけになったところで急に雰囲気が変わります。。。。これは小日向さんじゃないとできなんだろうなぁ。
ロックハート氏は悪魔で(でも酔っ払うんですけどね人間の体に間借りしてますから)、25年前にシャーキーと牢獄の中でカードをやって負けちゃったからシャーキーの罪を帳消しにしてあげたんだといいますな。で、もう一回その命をかけてカードをやろうと。
ロックハート氏が怖かった。本当に怖かった。体は酔っ払ってるんだけど、目は酔っ払ってないんですよ。さすが。
怖がりながら、私は落語の「死神」のサゲを思い出してたです。五代目の三遊亭円楽師匠の、馬面で怖い方の。
本題に戻ります。今度はシャーキーがその命をかけたカードをするんです。ちなみにリチャード(目が見えないからアイヴァンが代わりにカードを切ります)も参加。
で結局負けてしまうシャーキー、勝った悪魔のロックハート氏に連れて行かれるわけです。もう諦めているシャーキー。状況は全くつかめていないものの、そんな弟を心配して外に出さずまいとする兄。ここで、兄の思いが炸裂するんです。ここは泣きそうになります。
でもね、あまりにもくだらない大どんでん返しがあるんですよ。バカバカしいどんでん返し(^_^)。あまりのバカバカしさに思わず笑って、思わずすっきりしちゃう(^_^)。
「あったよ〜メガネ〜」ってなくなったメガネをかけて出てきた時のアイヴァンの浅野さんのかっこいいことといったら。幕開けからその最後のシーンまでずっと目を細くして、歩幅を狭くして肩をかがめて歩いてたんですよってその時初めて気が付きました。

3時間の長い舞台で、恐ろしいほどの長台詞があり、60歳と55歳の高齢化舞台であるにもかかわらず、全く飽きることがありませんでした。
笑ったかと思ったら、うるさいなぁと思ったり、ちょっと感動したり、星新一ばりにゾクッとしたり、また笑ったり、圧倒されたり。
年末に本当ににいいものを見ました。再演があるのならまた是非行きたいです。

あ、そうだ、誰もマイクつけてませんでしたよね?
つけてたとしても、意味ないくらい声が通ってましたが(^_^;)。ほんとに60歳?

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